2028年ロサンゼルス五輪の追加競技にも決定し、今まさに世界中で注目を集めているフラッグフットボール。
学校の体育でも取り入れられ、日本でも急速に普及が進んでいますが、フラッグフットボールってどんなスポーツか知らない方も多いのではないでしょうか。フラッグフットボールのルールやアメフトとの違い、日本代表選手まで徹底的に解説していきます。
フラッグフットボールとは?
フラッグフットボールとは、アメリカンフットボール(アメフト)をベースに、タックルなどの激しい身体接触を排除し、誰でも安全に楽しめるように考案されたスポーツです。プレーヤーの両腰に「フラッグ」と呼ばれる布(幅約5cm・長さ約38cm)を取り付け、ボールキャリアのフラッグを取られることでタックルの代わりとするのが最大の特徴で、この仕組みからスポーツの名前も生まれました。
発祥はアメリカで、日本には1990年代後半に本格的に伝わりました。現在は100カ国以上・約2,000万人の競技人口を誇るほど世界に広まっており、2028年のロサンゼルスオリンピックでは正式競技として初採用されることが決定しています。
子どもから高齢者まで老若男女が楽しめる「生涯スポーツ」として位置付けられているため、教育・レクリエーション・競技と幅広いシーンで親しまれています。
フラッグフットボールのルールについて
フラッグフットボールは5対5で行われます。試合時間は前後半各20分の計40分です。コートは縦50ヤード(約45m)+両端10ヤードのエンドゾーン、横25ヤードのフィールドを使用し、体育館内での開催も可能です。
攻撃のルール
攻撃側は4回の攻撃権を使い、タッチダウンを目指してフィールドを前進します。
- 自陣5ヤード地点からプレー開始
- 4回の攻撃でハーフラインを越えれば次のタッチダウンへ挑戦継続
- ハーフラインを越えられなければ攻守交代
- ランまたはパスで前進
- 毎プレー前にハドル(作戦会議)を実施
守備のルール
守備側はフラッグを奪うことを中心に、さまざまな方法で相手の攻撃を止めます。
- フラッグを1本でも取ればその攻撃を終了
- パスカット(インターセプト)も有効な守備手段
- ボールキャリアをサイドライン外に追い出しても攻撃を終了させられる
得点のルール
シンプルに見えて戦略が光る、このスポーツの得点ルールをわかりやすくまとめました。
タッチダウン(6点)
タッチダウンはこのスポーツにおける最も基本的かつ価値の高い得点方法です。相手エンドゾーンにボールを持ち込む、またはエンドゾーン内でパスをキャッチすることで獲得できます。1回のタッチダウンで6点が加算され、試合の流れを大きく左右する重要なプレーです。
PAT(タッチダウン後の追加トライ)
タッチダウンを決めた後には、ボーナス得点を狙う「PAT(Point After Touchdown)」のチャンスが与えられます。通常のアメフトと異なり、このルールではキックは存在せず、すべてランまたはパスによるタッチダウンで得点を争います。
10ヤードからの2点トライ
エンドゾーンから10ヤード離れたラインからプレーを開始し、タッチダウンを成功させると2点が加算されます。距離が長い分、難易度は高くなりますが、成功すれば大きなアドバンテージを得られるため、試合終盤の逆転を狙う場面などで積極的に選択されることがあります。
5ヤードからの1点トライ
エンドゾーンから5ヤードのラインからプレーを開始し、タッチダウンを成功させると1点が加算されます。距離が短い分、成功率は高くなりますが、獲得できる点数も1点にとどまります。確実に点数を積み上げたい場面や、リードを守りたい局面で選ばれることが多いです。
キックプレーは存在しない
このスポーツではアメフトのようなフィールドゴールやキックオフは一切存在しません。得点はすべてタッチダウンとPATによって争われるため、よりランとパスのプレー判断が戦略の中心となります。キックがない分、すべてのプレーがスクリメージライン上での攻防に集約され、よりシンプルかつダイナミックな試合展開が生まれるのがこのルールの特徴です。
アメフトとの主な違い
フラッグフットボールとアメフトを混同しがちな方のために、両者の違いをわかりやすく整理します。アメフトとラグビーと同様に、フラッグフットボールも楕円形のボールを使いますが、その競技性はかなり異なります。
| 項目 | フラッグフットボール | アメリカンフットボール |
| 人数 | 5人対5人 | 11人対11人 |
| 身体接触 | 原則禁止 | タックルあり |
| 守備方法 | フラッグを取る | タックルで止める |
| キック | なし | キックオフ・パントあり |
| ファーストダウン | ハーフライン通過のみ | 10ヤードごと |
| フィールドサイズ | 約36×22.5m | 約110×49m |
| 防具 | 不要 | ヘルメット・パッド等必要 |
最も大きな違いはやはりタックルの有無です。アメフトではボールキャリアをタックルして止めますが、フラッグフットボールでは腰に付けたフラッグを取るだけでプレーが止まります。これによってケガのリスクが大幅に低下し、小学生から女性・高齢者まで幅広い層が参加できる競技になっています。
2028年ロス五輪追加競技に正式決定
フラッグフットボールは、2023年10月16日にインド・ムンバイで開催されたIOC(国際オリンピック委員会)総会において、2028年ロサンゼルス五輪の追加競技として正式に決定しました。これはアメリカンフットボールの本場・米国でのオリンピック開催という追い風も大きく影響しており、フラッグフットボールが世界規模で急速に注目を集めるきっかけとなりました。
五輪出場権は、開催国の米国を除いた男女各上位2か国に与えられます。日本は2026年8月にドイツ・デュッセルドルフで開催される世界選手権で出場権獲得を目指しており、2026年4月時点で男子24人・女子23人がオリンピック強化指定選手に選ばれています。
参考サイト:産経新聞
日本代表の注目選手を紹介
日本代表メンバーは、学生時代からフラッグフットボール一筋で磨いてきた選手から、アメフト経験者まで多彩な顔ぶれが集まっています。
QB 磐田千紘(女子日本代表)
女子日本代表の中核を担うのが、QB(クォーターバック)の磐田千紘選手です。6歳でフラッグフットボールを始め、カンザスウェズリアン大学(米国)に進学して競技力を磨いてきました。2023年のIFAFフラッグフットボールアジア・オセアニア大陸選手権で日本を初代女王に導いた立役者であり、2024年の世界選手権でも3位入賞に貢献しました。スポーツ誌『Number』にも特集されるなど、日本のフラッグフットボールを代表する顔として活躍しています。
WR 木下典明(男子日本代表)
男子日本代表では、WR(ワイドレシーバー)木下典明選手が注目を集めています。かつてNFLヨーロッパで活躍し、NFLアトランタ・ファルコンズの練習生となった経験を持つ41歳のベテランで、豊富な経験と実力を買われて日本代表入りを果たしました。社会人アメフトXリーグ出身者としても初めて代表選手に加わった1人として話題となっています。
出典元:木下典明のノリチャンネル
QB 谷口雄仁(男子日本代表)
男子日本代表のゲームメーカーとして中心的な役割を担うのが、QB谷口雄仁選手です。司令塔としてチームの攻撃を組み立てるQBという最重要ポジションで、アジア・オセアニア選手権でも好パフォーマンスを発揮しています。2025年の世界選手権でもチームを牽引した実力者です。
中垣佑太(男子日本代表)
男子日本代表元主将として長くチームを引っ張り続けてきたのが、中垣佑太選手です。キャプテンとして培ったリーダーシップと経験値はチームに欠かせない存在で、若い選手の精神的支柱にもなっています。
伊藤耕世(男子日本代表)
JOC強化指定選手にも選ばれた伊藤耕世選手は、オリンピックを見据えた強化プログラムに積極的に取り組む次世代の主力選手の1人です。競技レベルの向上とともに注目度が増しており、2028年ロス五輪での活躍が期待されています。
まとめ
フラッグフットボールは、アメリカンフットボールの戦略性をそのままに、タックルをフラッグ取りに置き換えることで誰もが安全に楽しめる競技として進化してきました。アメフトの戦略的な面白さと安全性を両立させた、これからますます普及が期待されるスポーツだと言われています。
2028年ロサンゼルスオリンピックで世界の舞台に立つ日本代表選手たちの活躍に向け、日本全体での盛り上がりが加速しています。 まだ体験したことがない方は、オフィシャルサイトもチェックしながら、ぜひ近くのフラッグフットボール教室やクラブチームに足を運んでみてください。













