2025年7月、セパタクロー男子日本代表が世界選手権大会で初優勝しました。協会発足から36年目で悲願の世界一となり、金メダルを獲得。
そんなセパタクローというスポーツについて、知らない方も多いのではないでしょうか?今回はセパタクローのルールや代表選手、魅力などについて詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
セパタクローってどんな競技?
セパタクロー(Sepak Takraw)は、東南アジア発祥の伝統球技で、サッカーとバレーボールを融合させたようなスポーツです。
マレー語で「蹴る」を意味する“sepak”と、タイ語で「竹・籐の編みボール」を意味する“takraw”を組み合わせた名前で、「蹴るボール」という意味。
出典元:art design eND
プレイヤーは手を使わずに、足・ひざ・胸・頭だけでボールを打ち合い、ネット越しに相手コートへ返球します。
華麗なオーバーヘッドキックなど、ダイナミックでアクロバティックな競技性が魅力で、タイ、マレーシア、インドネシアなど東南アジアで大人気のスポーツです。別名「空中格闘技」「空飛ぶサッカー」と呼ばれています。
セパタクローの基本ルール
セパタクローには種目形式がいくつかあるのですが、公式戦などで一般的に採用されている形式は以下の通りです。
レグ | 1チーム3人 最も基本的で標準となるもの |
チームレグ | 3チーム(各3人)で構成された団体戦形式 各チーム同士で3試合行い、2勝以上したチームが勝利 |
ダブルス | 1チーム2人 |
クワッド | 1チーム4人 |
次の見出しから、最も一般的な「レグ」のルール説明をしていきます。
プレイヤーの配置と呼称
1チーム3人で構成され、ネットに近い前方に2人、後方に1人という逆三角形の陣形を取ります。それぞれのポジションについては、以下の通りです。
- アタッカー:相手コートにスパイクを打ち込む
- サーバー:サーブ担当
- トサー:アタッカーにトスを上げる
右前方は「ライト・イン・サイド」、左前方は「レフト・イン・サイド」、中央後方が「バック」と呼ばれ、それぞれこの3名で1つの「レグ」を形成します。
主なルールとプレー方法
バレーボールに似た形式ながら、大きく異なる点が3つあります。
- 手や腕を使ったプレーは禁止、足・ひざ・胸・頭のみでプレー
- 同じ選手が連続してボールに触れてもよい
- ローテーションは行われない
試合開始は、クウォーターサークル内の選手がセンターサークルの選手にトスを上げ、それを蹴ってサーブ。最大3回以内のタッチで相手コートへ返球します。
試合は1セット21点のラリーポイント制で、2セットを先に取ったチームが勝利。セットカウント1-1になった場合は、6点先取のタイブレークセットが行われます。
使用される用具やコートの特徴について
セパタクローで使われるボールは、籐またはプラスチック製で編まれたものです。直径が約13.5〜14.5cm、重さは約170〜180gで編み目があり、空気抵抗が大きいため浮きやすいのが特徴です。
コートのサイズは、縦13.4m✕横6.1mでバドミントンのダブルスと同じ大きさです。男女でネットの高さが違い、男子が155cm、女子が145cmとなっています。
コートにある主なラインはセンターサークル、サービスサークル(サーバー用)、クウォーターサークル(トサーとアタッカー用)です。
注目すべき国内外の代表選手たち
セパタクローは東南アジア発祥のスポーツのため、タイやマレーシア、ベトナム、ミャンマーなどで盛んに行われています。特にタイでは国技としてとても人気があり、プロリーグも存在します。男女ともに世界ランキング1位の常連国です。
マレーシアも強豪国ですが、最近ではベトナムも女子セパタクローが強く、日本も男女ともに勢いを伸ばしています。
この見出しでは、国内外の主な有名選手についてご紹介します。
タイ:シリワット・サカ(Siriwat Sakha)
186cmという高身長でありながら、正確かつ強力なサーブが持ち味。アジア大会において複数の金メダルを獲得しています。
出典元:Hairul Rusli
マレーシア:アズラン・エイリアス(Azlan Alias)
“キングスパイカー”と呼ばれるセパタクロー界屈指のストライカー。2018年アジア大会では金メダルを獲得し、ファンからの人気も高い選手です 。
出典元:kaiosmith
日本:内藤利貴(ないとう としたか)
日本代表選手で、2025年7月に行われた世界大会でも初優勝に貢献しました。サッカーから転身したこともあり、アクロバティックなアタックが持ち味の日本男子セパタクローのエースです。
出典元:玉置大嗣
セパタクローの歴史
セパタクローの起源は15世紀のマレー半島、タイ、ラオスなどの東南アジア各地にルーツがあると言われています。
当初の目的は、武術の訓練や祭事・娯楽として行われていたそうで、1945年頃にペナンで初のネット使用の試合が開催されました。その後、1960年代に正式にルールが確立され「セパタクロー」と命名。
1988年にISTAF(国際セパタクロー連盟)が設立され、1990年にアジア競技大会に正式採用。日本では1989年に国際大会を初開催し、1997年に日本セパタクロー協会(JSTAF)が設立されました。
日本と世界の競技人口は?
セパタクローの競技人口は世界で約5000万人以上、日本で約2000〜3000人と言われています。
世界では特にタイやマレーシア、インドネシアで盛んで、最近では欧米にも進出中なんだとか。日本では大学から始める人が多く、大学の部活や社会人クラブなどをメインに普及中のようです。
日本国内でも全日本選手権など毎年大規模な大会が開かれ、クラブやスクール活動も増加しているそうです。2026年には愛知県でアジア大会が予定されており、盛り上がりが進んでいます。
セパタクローの魅力や注目ポイント
セパタクローの魅力は、やはりアクロバティックなプレーと迫力ある攻撃ではないでしょうか。1試合で何度も見られ、時に時速150 kmに達するという記録もあります。
出典元:RCC NEWS DIG Powered by JNN
ほとんどの選手が宙返りのような動きを連発し、そのスピード感や身体能力の高さには驚かされるばかりです。
まとめ
ここまで、東南アジアを中心に人気のセパタクローについてご紹介しました。
日本ではまだ競技人口は少ないものの、世界大会で優勝するなど盛り上がりを見せています。セパタクローの魅力は、アクロバティックでスピード感抜群なところが見ていて飽きないですよね。
大人から始める人がほとんどなので、気になる方はチャレンジしてみるのもいいかもしれません。