フレスコボールは、ブラジル・リオデジャネイロの海岸で生まれたラケットとボールを使い、できるだけ長くラリーを続けることを目的としたビーチスポーツ。
対戦ではなく協力というユニークな発想と、海風や砂浜という開放的な環境が相まって、リラックスと爽快感まで楽しめる競技です。
今回は、そんなフレスコボールについて詳しく調査しました。
フレスコボールってどんな競技?
フレスコボールは一般に、2人か3人程度でラケットとボールを使って砂浜など開けた場所で打ち合うスポーツです。
出典元:ワールドマイナースポーツ
特徴的なのは「相手を倒す」「勝利を奪う」という競争的な目的ではないところ。「できるだけ長くラリーを続ける」という協力・継続型のプレーが基本である点です。
フレスコボールの基本ルール
以下で、フレスコボールの基本ルールを整理します。
目的
ラケット(パドル)とボールを使い、パートナーとともにラリーをできるだけ長く続ける。ボールを地面に落とさない、許容範囲外に飛ばさないことが基本。
プレーヤー構成
一般的には1組2人のペアでプレーされることが多く、2人が向かい合ってボールを打ち合う形式です。
ラリー開始・返球
プレーヤーがボールを打って相手側に返し、相手が打ち返すという往復が続き、ボールが砂浜の地面に落ちた場合やラケットで打てない状況になった場合にラリーが終了します。
勝敗・得点
多くは「勝ち負け」を明確に定めず、継続時間や打数(ラリー回数)を楽しむ仕様です。しかし、近年は競技化・大会化の流れもあり「5分間で何打できるか」「スピード測定」「攻撃回数」などを基準とするルールも出てきています。
反則
ボールを手や足で扱うことは原則禁止。ラケット以外の部分でボールを操作することも良しとされていません。
使用される用具やコートの特徴について
ここでは、フレスコボールで使用される用具やコートの特徴についてまとめました。
使用される用具
フレスコボールで使用される用具は以下の通りです。
| ラケット(パドル) | 木材または繊維強化素材などを使用 形状としてはやや楕円・涙形が一般的 幅最大25cm、長さ最大50cm程度 |
| ボール | 小型の空気入りゴムボール 跳ね返りや飛びすぎを抑制した仕様のものが好まれる |
コートの特徴
フレスコボールは砂浜など海岸の開けたスペースがそのまま舞台になることが多く、テニスやパデルのように明確なコート線・ネットが必ずしも設けられていないことが一般的です。
そのため「砂浜の傾斜・風・潮の状況を考慮する」といった環境要因がプレーに影響します。競技大会仕様では専用エリアを設ける場合もあり、砂浜に人工的な区画を設けて審判・観客席・設備を整える例もあります。
注目すべき国内外の代表選手たち
フレスコボールは発祥地であるブラジルを中心に、競技・レクリエーション両面で多くのプレーヤーが活躍しています。
代表選手として明確に、世界ランキングや歴代チャンピオンという情報が豊富とは言えないものの、大会派遣実績などから注目される選手・ペアをご紹介します。
①五十嵐 恭雄&赤塚 康太ペア(日本)
日本国内のフレスコボール大会において上位常連ペア。
2024年度の国内ツアー「FRESCOBALL JAPAN TOUR 2024」で男子1位を獲得し、2025年6月のブラジル選手権への日本代表派遣メンバーに選ばれています。日本でも本格的に国際大会へ挑む代表ペアとして、競技化・普及において注目の存在です。
②宮山 有紀 & 風味 千賀子ペア(日本)
国内女子部門においてトップクラスの成績を誇るペア。
2022年のジャパンオープン女子部門優勝、2025年のブラジル選手権への代表派遣対象となるペアです。フレスコボールの男女ミックス・女子部門の盛り上げに貢献しています。
③Filipe Gayan × Vinicius Nunes(ブラジル)
2025年10月に開催された「Suma Frescoball World Cup 2025」で、男子カテゴリ優勝ペアとして紹介されています。ブラジルから来日し、世界クラスの実力を持つペア。
フレスコボールの歴史
フレスコボールは、1945年頃にブラジル・リオデジャネイロのコパカバーナ海岸近辺にて生まれました。特に若者たちが砂浜でラケットとボールを使って遊んだのがスタートと言われています。
当初はテニスラケットを使っていましたが、海岸という環境・ラケットの痛みやボールの変化などを背景に、木製パドル・ラバー系ボールへと変化。1980年代にはブラジル国内各地で「遊び」から「大会」形式への動きが出てきたといいます。
近年ではブラジル以外でもイスラエル、メキシコ、アメリカ、ヨーロッパ方面にも拡がっています。
日本と世界の競技人口は?
フレスコボールはブラジル国内において、100万人以上のプレーヤーがいると言われています。
日本では2013年に日本フレスコボール協会(JFBA)が設立。その後「FRESCOBALL JAPAN TOUR」など年間大会、国内ランキング制度、代表派遣体制の整備が進んでいます。
2025年時点で、6組10名がブラジル選手権に日本代表で派遣されるなど国内競技レベルが上がってきていることが報じられています。
公式競技として大会・国際派遣という規模が出てきており、競技人口・関心度ともに増加傾向にあるといえます。
フレスコボールの魅力や注目ポイント
フレスコボールは対戦相手を倒すのではなく、パートナーとボールを打ち合い「できるだけ長くラリーを続ける」ことが目的です。そのため、ラケットスポーツにも関わらず「競争」より「協力・連携」が重視される点が魅力の1つではないでしょうか。
また、砂浜・潮風・開放的な空間という環境で行われるため、屋外レジャー感・爽快感・自由な雰囲気があり、遊びとしても始めやすいところも魅力的です。
コート設備などが必要最低限で済むことが多く、年齢・性別問わずラリーを楽しむことが可能なビーチスポーツとして注目されています。
まとめ
「協力型ラケットビーチスポーツ」で、遊びとして楽しむのも、競技として磨くのもどちらも可能なフレスコボール。年齢・性別・経験を問わず、ビーチでの新しいラケット体験を求める方にとって魅力的なスポーツです。
今後、さらに競技人口が増えていくのではないでしょうか。













