サッカーと卓球を融合した新感覚スポーツ「テックボール(Teqball)」。湾曲した専用テーブルの上で、手を使わずにボールをリズムよく打ち合うこの競技は、瞬く間に世界中で注目されるようになりました。
今回はそんなテックボールの基本ルールや用具、注目選手、歴史や競技人口、魅力などあらゆる側面からご紹介します。
「テックボール」ってどんな競技?
テックボールは、サッカーと卓球の要素を組み合わせたハンガリー発祥のニュースポーツです。2014年に元プロサッカー選手とエンジニアらによって考案されて以来、急速に普及が進んでいます。
出典元:TEQ TV
各チームは1対1(シングルス)または2対2(ダブルス)で競技を行います。テーブルにボールを3回以内に返すこと、同じ身体部位で連続で触れてはいけないなど独自のルールで勝敗を決める競技です。
サッカー経験者だけでなく、初心者や年齢を問わず楽しめるスポーツとして注目を集めています。
「テックボール」の基本ルール
テックボールには明確なルールがあり、FITEQ(国際テックボール連盟)が公式に定めています。
出典元:日本Japan teqball federation
プレー形式 | シングルス(1対1)、ダブルス(2対2)、ミックスダブルスあり |
1セット | 12ポイント先取(ベスト・オブ・スリー形式) |
サーブ | 1回のサービスにつき2回のチャンスあり |
タッチ制限 | 3タッチ以内で返球 |
部位連続使用禁止 | 同じ身体部位で2回続けて触ってはいけない |
反則 | テーブルや相手に触れるのは禁止 |
カード制 | イエローカード・レッドカード制度あり 審判の判断により制裁が課される場合もある |
使用される用具やコートの特徴について
テックボールは専用の台があるなど、他の競技とは違う特徴を持っています。
テックボール用テーブル
一見、卓球台のようですが、中央が滑らかに湾曲した形状で、ボールを自然に跳ね返す設計になっています。 テーブルのデザインは特許で保護されており、製造・販売にはライセンスが必要です。
ボール
使用するのはサッカーボール(5号球)で、そのままテクニックを活かせる標準仕様です。
競技スペース
正確な競技ゾーンも存在し、幅12m×長さ16m、高さ7mといった空間で安全・快適にプレーが可能です。
注目すべき国内外の代表選手たち
テックボール界には、競技を支える注目選手が多数存在します。ブラジルの超有名サッカー選手のロナウジーニョやネイマールもテックボールを楽しんでプレーしていたり、アンバサダーを務めたりしています。
出典元:TEQ TV
発祥地のハンガリーやサッカーの強いブラジルやルーマニア、フランスなどが強豪国として上位常連選手を輩出しています。
①Ádám Blázsovics(アダム・ブラーゾヴィックス):ハンガリー
男子シングルスにおいて何度も世界王者を獲得しており、2021年グリヴィツェ世界選手権では男子シングルスのタイトルを防衛。女子部門と合わせて男女タイトルがハンガリーに入るという快挙を成し遂げました。
ダブルスでも優秀な成績を残しており、2019年の世界選手権ではパートナーのCsaba Bányikとともに男子ダブルス金メダルを獲得。
②Apor Györgydeák(アポール・ギョルギーデーク):ルーマニア
2022年と2024年の男子シングルス世界王者であり、2023年ヨーロッパ競技大会(European Games)でも金メダルを獲得し、世界ランキングで1位の実績を誇ります。2024年には56戦無敗という驚異的な強さを示しました。
③Natalia Guitler(ナタリア・ギトラー):ブラジル
元プロテニス選手であり、フリースタイルサッカーやフットボレーの世界王者でもある多才なアスリート。2019年にはテックボール混合ダブルス世界選手権で優勝し、女性として初めてその栄冠を手にしました。ロナウジーニョに招かれて競技を始めたことも話題です。
④早稲 昭範(わせ あきのり):日本
日本テックボール協会の代表理事も務める、日本テックボール界のキーパーソン。2019年の「アジアパシフィックビーチカップ2019」では、アジアチャンピオンに輝きました。
関東リーグ(T‑1)では2024年に優勝し、国内リーグだけでなく世界大会でも好成績を残しており、圧倒的な実力を誇ります。
「テックボール」の歴史
テックボールは、2014年頃にハンガリーで生まれました。元サッカー選手のGabor Borsanyi(ガボール・ボルサニ)、コンピュータ科学者のViktor Huszar(ヴィクトル・フスパー)らによって着想・開発。
出典元:【サッカー】FCみんなの反応集
2016年にはロナウジーニョの出席で公式発表され、2017年にFITEQ設立。第1回世界選手権がハンガリーで開催されました。その後、世界各国でも国際大会が連続開催。
オリンピックも視野に入れ、アジアビーチゲームズやヨーロッパゲームズにも採用され、国際的な広がりを見せています。
日本と世界の競技人口は?
テックボールは160ヶ国以上で普及しており、100以上の国・地域に協会が存在する急成長中の競技です。世界選手権には多くの国から多くの選手が参加しています。
日本での競技人口はまだ100人前後と少数ですが、東京や京都を中心にリーグ戦も開催されており、普及活動が続けられています。
「テックボール」の魅力や注目ポイント
テックボールはボールタッチやコントロール、空間認識が求められる技術性の高さが注目ポイント。まさに「テクニックの競技」として上達の楽しさがあり、性別や年齢を問わず誰でも参加しやすいスポーツです。
テーブル上での緊張感あるラリーやスピード感は、観戦スポーツとしてエンタメ性の高い競技なのも魅力的。サッカーの技術向上、集中力や判断力などを高めるトレーニング手段として導入するチームも増えているようです。
出典元:URAWA REDS OFFICIAL TV/浦和レッズ公式チャンネル
2032年ブリスベンオリンピックでの採用を目指す動きもあり、今後の注目度は高まる一方です。
まとめ
ここまで、テックボールについてご紹介しました。
テックボールは、卓球台型の湾曲テーブルでサッカーボールを打ち合う、サッカー×卓球ハイブリッドの革新的スポーツです。技術性と誰でも楽しめる親しみやすさを兼ね備え、世界中での普及が進む中、今後は大会や代表選手の増加とともに、オリンピック正式種目化への期待も高まっています。