「水中ホッケー」は、プールの中で行われるスピード感あふれるユニークな球技です。地上でのホッケーやアイスホッケーとは異なり、水中でパックをスティックで操作する競技で、競技者は息を止めて潜水しながら攻防を繰り広げます。
今回はそんな水中ホッケーのルールや用具、代表選手や魅力についても詳しくご紹介します。
水中ホッケーってどんな競技?
水中ホッケーは、1950年代にイギリスで発祥した競技で、現在は世界中の20か国以上でプレーされています。プールの底で小さなプラスチック製パックをスティックで押し合い、相手ゴールに入れることを目指すスポーツです。
出典元:ワールドマイナースポーツ
競技者は潜水時間が制限される中でパックを操作し、チームでの連携や戦術が求められます。通常1チーム6人でプレーし、水中での位置取りや呼吸タイミングを駆使して試合が進行します。ゲームのスピードは非常に速く、水の抵抗の中での素早い判断力や反射神経が勝敗を分けます。
水中ホッケーの基本ルール
水中ホッケーの1試合は前後半に分かれ、各10〜15分程度で進行することが一般的です。
出典元:Mr.Animate
スティックは片手で操作する仕様で、プラスチック製の小さなパックを押してゴールに運びます。相手選手の身体に対する危険行為は禁止され、ペナルティを受けることがあります。
水中での位置取りや潜水時間の管理が重要で、交代は自由に行えるため、体力の消耗が激しい競技です。
使用される用具やコートの特徴について
水中ホッケーは通常、水深1.8〜3mの25~30mプールで行われます。水深があるため、選手は潜水してパックを扱うのです。ゴールはプール底に設置されており、各チームの得点を競います。
長さ約30㎝のスティックは片手持ちで、素材は耐久性のあるプラスチック製です。パックも水中で滑るように設計されており、重さや形状が均一になるよう調整されています。
選手はスノーケルやマスク、フィンを装着し、水中での移動速度を確保します。これにより地上のホッケーとは異なる、水中ならではの戦略やテクニックが生まれるのです。
注目すべき国内外の代表選手たち
水中ホッケーはまだ世界的にもマイナー競技のため、メディア露出や統計・データベース整備が乏しく、個人の評価が公開されずらいのが現状。ほとんどの国際大会で「チーム単位=代表国」での勝利が重視され、個人名で報道されることが少ないのです。
さらに日本国内においては競技人口が少なく、動画やSNSで露出しているプレイヤーも少ないため「日本人スター」はほぼ存在しない状態です。
そこで、以下では水中ホッケーの「強豪国」についてご紹介します。
ニュージーランド男子代表
2023年の世界選手権エリート部門で優勝し、現在は世界王者。
伝統的に水中ホッケーの強豪国で、多くの試合を制し世界トップレベルのプレーを維持しています。つまり「どの選手も世界水準」で、高い練度・連携・経験を持つチームなため、代表選手は「世界トップレベルプレーヤー」とみなされます。
オーストラリア代表
歴代の世界選手権で男子・女子とも複数回優勝経験があり、水中ホッケーでは強豪国の1つとなります。近年は女子部門でも安定した実績を持ち、国際的な競争力を維持しています。
日本代表:新野洋平
2018年に世界選手権日本代表に選出された選手。国内クラブでの実績があり、国際大会レベルでプレー経験を持つ日本水中ホッケー界の代表格です。
日本では水中ホッケーの選手人口・競技人口がまだ少なく、当然強豪国ではありませんが、「水中ホッケーで国際大会経験あり」というのはかなり希少だといいます。そういった意味で、新野洋平選手さんは「国内ではトップクラス」と言えるのではないでしょうか。
水中ホッケーの歴史
水中ホッケーは1954年にイギリスで誕生しました。元々は水泳クラブのメンバーが、水中での運動能力を競う遊びとして始めたのが起源と言われています。
初期の頃は正式なルールもなく、自由に水中でパックを動かしていましたが、1960年代に入ると国際大会やルールが整備され、組織的な競技として発展しました。
1980年代以降、国際水中スポーツ連盟(CMAS)の傘下で国際大会が定期的に開催されるようになり、世界規模での競技人口が増加しました。
日本と世界の競技人口は?
水中ホッケーは世界中で広まっていますが、競技人口はまだ少なく、特にアジア圏では限られたプール施設でしかプレーできません。欧州、オセアニア、北米では競技人口が比較的多く、国際大会では20か国以上が参加します。
日本国内では、約500〜1000人程度の競技者が活動しており、男女比はほぼ半々です。年齢層も幅広く、学生から社会人まで競技を楽しんでいます。SNSやYouTubeの普及により、若年層への認知度は徐々に上がっており、今後の拡大が期待されています。
水中ホッケーの魅力や注目ポイント
水中ホッケーの最大の魅力は、水中という特殊環境で行われる点にあります。選手は潜水時間を計算し、呼吸のタイミングとパック操作を同時に行わなければなりません。地上のホッケーでは味わえない、水中ならではのスピード感や戦術が魅力です。
出典元:東京マリンチャンネル
また、体力だけでなく戦略的思考やチームワークも求められるため、見ていても非常にエキサイティングな競技となっています。世界大会では一瞬の判断ミスが勝敗を左右するため、観戦者を飽きさせません。
戦術性の高いスポーツ
水中ホッケーは単なる力任せのスポーツではなく、戦術性の高さも見どころの1つ。
選手は水中で常に周囲の位置を把握し、パスやシュートのタイミングを計算。潜水時間が制限されているため、交代や呼吸のタイミングも戦略の一部となり、チーム全体での連携が勝敗を左右します。
さらに相手の動きを読みながら、瞬時に守備に回るか攻撃に転じるかの判断をする必要があるため、頭脳的要素も強いスポーツ。各国の戦術の違いも面白いポイントです。
最近ではSNSやYouTubeで水中でのスピード感あふれるプレーを見る機会も増えています。
まとめ
ここまで、水中ホッケーについてご紹介しました。水中ホッケーは、独特な環境と戦術が融合したユニークなスポーツです。プールの中でのスピード感、潜水テクニック、チームプレーの巧みさが魅力で、国内外の大会も盛り上がりを見せています。
日本でも徐々に注目度が上がっており、今後さらに競技人口の拡大が期待されているスポーツです。













